取り外し式総入れ歯の問題点
残っている歯の1人平均本数
厚労省「歯科疾患実態調査」2005より
60歳くらいになると、残っている歯の本数は20本くらいになってきます。
残り20本の歯とは、入れ歯に頼らず自分の歯で不自由しない最小限の歯の本数です。
世界中どの先進国でも、60歳以上の人の4割以上が総入れ歯になっているか総入れ歯予備軍で、総入れ歯の患者さんは年々増加しているそうです。しかも、総入れ歯、総入れ歯予備軍の人の9割は、いまだに取り外し式の入れ歯を使っています。
取り外し式の総入れ歯は簡便だというメリットもあるのですが、一方で多くの人がその使用感に不満を持っているのではないでしょうか?
入れ歯は簡便だが、使用に耐えられないことも多い。
入れ歯には自分の歯の歯根ように固定源が無いので、外れてしまって当然とも言える。
特に、「入れ歯が合わない」という経験を持つ方は少なくありません。入れ歯が不用意に外れてしまうので困っている方も多いでしょう。
入れ歯が外れる最大の原因は「すき間からの空気漏れ」にあります。入れ歯とお口の粘膜とのすき間に空気漏れがあると、入れ歯が外れてしまうのです。
そこで、空気漏れが少ない、お口の粘膜に合った入れ歯を作るために、歯科医は慎重に入れ歯の型採りを行っています。
ところで、型採りというのは、柔らかくて動きのあるお口の中の粘膜を、硬い石膏という材料に置きかえる作業です。ですから、たとえうまく型採りができたとしても、それは動いている粘膜の瞬間的な形を静的とらえているにすぎず、動的なお口の中の状態を再現しているわけではないのです。
左:上顎の口腔内(軟らかい粘膜) 右:上顎の模型(硬い石膏)
左:下顎の口腔内(軟らかい粘膜) 右:下顎の模型(硬い石膏)
軟らかいお口の粘膜は、硬い石膏には置き換わりません。
型採りをおこなって正確に置き換わるものは、もともと硬い歯やインプラントだけです。
ですから、同じ患者さんに同じ歯科医が入れ歯を作っても、「合う入れ歯」と「合わない入れ歯」ができることがあるのです。取り外し式の入れ歯の型採りというのは、どちらかというと芸術的な作業なのです。
取り外し式の総入れ歯というのは、言ってみれば「エンジンの無い自動車」です。総入れ歯は顎の骨と固定されていないわけですから、しっかり噛めないのは当たり前の話です。
入れ歯で噛めないのは、エンジンの無い自動車が走れないのと同じことなのです。
今までのインプラント治療の問題点
インプラントが登場して、歯科医はようやく治療手段を手に入れました。
インプラント治療は科学的な治療法であり、インプラントの歯が噛めなくて困るということはありません。インプラントはすばらしい治療法だと思います。
しかし、歯を失った方の場合、歯だけでなく、歯を支えていた歯槽骨まで失っていることが多いと言えます。それで、このすばらしい治療をうけたいと思っても、インプラントを埋め込む骨量が少ないという理由で、手術を断わられることがあります。
当クリニックはインプラント治療専門であるため、骨が無いという理由で手術をお断りすることはありませんが、通常のインプラント治療は骨の造成無しでは手術できないこともあるのです。
下顎から自分の骨を採取し、骨補填剤と混和、上顎洞を側方から挙上した。高度な技術と長い治療期間を要する上顎洞の骨造成術。
チタン補強膜を用いて、下顎の臼歯部の骨を垂直的に挙上した。高度な技術と長い治療期間を要する下顎の骨造成術。
新しいインプラント治療 オール・オン・フォー
入れ歯とインプラントの欠点の両方を補える治療があれば、歯を失ってしまった患者さんにとってこれほど幸せなことはありません。職人技に頼るのではなく、正しい工程で行えばどの先生が作っても成功する入れ歯であり、かつ骨が足りなくても可能な治療法はないのでしょうか?
それがあるのです。「オール・オン・フォー」という4本のインプラントを用いた治療法です。
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